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サンタ・マリア・トラスポンティーナ教会

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主題 :聖ペテロへの天国の鍵の授与、聖ペテロの十字架刑
所有者:サンタ・マリア・トラスポンティーナ教会(ローマ)
場所 :聖ピエトロとパオロの礼拝堂
作者 :ジョヴァンニ・バッティスタ・リッチ・ダ・ノヴァラ(1537-1627)
技法 :フレスコ画

修復前の状態

「聖ペテロへの天国の鍵の授与」の下部と「聖ペテロの十字架刑」の上部は保存状態が悪かったことが見受けられる。
過去に修復された痕跡やテンペラ画が後から重ねて塗られた跡が残っている。
全体的に表面は接着剤によって色がぼやけている。
「天国の鍵の授与」の下方隅にはフレスコ画のジョルナータ(1日ごとに部分的に漆喰層を塗ってその部分のみ着色する)の跡がある。
下絵図案を写すための間接的な彫りとボール紙を固定するための場所がはっきりわかる。
色落ちや色がはがれている部分も見受けられる。
下地層にはいくつか隙間や孔、亀裂があり、特に「天国の鍵の授与」のフレスコ画の下方部には顕著である。
「聖ペテロの十字架刑」の右側壁の近くにはフレスコ画の表面に塩分が表れている。
額縁は金箔で装飾されているが、接着剤により色がぼやけ、テンペラでの塗り直しが見られる。

修復過程

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修復前

​(私の担当部分)

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Pulitura

表面全体をスポンジと水で洗浄。その後、面積に応じて、AB57(重炭酸アンモニウム60g/L、カルボキシルメチルセルロース80-100g/L、およびEDTA 25g/L)を接触時間を様々に試しながらブラシで塗布。
 

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場所によっては和紙の上にAB57液体(カルボキシルメチルセルロースなしのもの)を塗布。

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部分洗浄

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洗浄後

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Consolidamento

最初に水を注入した後、水で50%に希釈したAcrylic33を注射器で注入し、補強させる。

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絵の表面が反りあがっている部分は、和紙の上から水で5%に希釈したAcrylic 33を刷毛で塗って元の状態に戻す。

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Stuccatura

過去の修復の跡のスタッコ(漆喰)はメスで取り除いた。次にヘラとスポンジで3:1の割合で消石灰と不活性フィラー(大理石粉末)を加えて欠損部分に充填。

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Reintegrazione pittorica 

最後に色落ちの部分に水彩絵の具にて彩色。

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修復後

"聖ペテロの十字架刑" (部分)

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