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油絵 2

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主題 : 神父 Ioannes Cassanese

作者 : Vincenzo Basile F

サイズ : 76 x 97 cm

地域 : ナポリ

技法 : 油絵

​制作時期:19世紀後半

絵の下方にラテン語で下記のような記載あり。

「アングリ(ナポリの近くの町)生まれの神父ジョバンニ・カッサネーゼは、とてもとても素晴らしい人物で、 汚れのない純真な魂を持ち.....1860年に76歳で永眠」

​修復前の状態

キャンバス:キャンバス地はオリジナルである。既にワニス塗りされ、和紙が貼られ、その上に板に膠で接着されている。

(既に乾いて破れている)和紙の上からも、布地の破れ、損傷や色落ちが多数見られる。布地の縁はほころび、破れあり。 

木枠:  板に接着しているため、木枠なし

損傷:無数の虫の排泄跡あり。布地が板に膠で接着されている

下地 : 下地層は茶色。布地との粘着力は悪い。

絵具層 : 色落ち多し。下地との粘着力も悪い。(触れるとぽろぽろ絵の具が落ちる)  

​修復過程

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表面の保護
キャンバスは既に和紙が貼られ、板に膠で接着されているので、 まず、最初に表面の絵具がはがれかけている部分に和紙を膠糊で貼る。

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板からはがす
へらとナイフでキャンバスを板からはがす。

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裏地洗浄
裏面を紙やすりで磨き、掃除機で粉を吸い取る。

 

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Consolidamento(裏地の保護)
裏面に熱いcolletta(
膠糊)を塗る。

 

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Foderatura(裏打ち)
裏地にColla di Pasta;パスタ膠糊を塗る。裏打ち用枠を準備し、新しい布地をかける。 これを絵の裏側に重ねてさらに上からパスタ膠糊を塗り、定着させる。

 

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Stiratura(アイロンかけ)
これが乾いたら絵の表側からシリコン紙、新聞紙をひいて低温(45-50℃)でアイロンをかける。

 

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Svelatura(ワニス取り)
熱湯とスポンジで表面を湿らせ、ナイフで表に貼ってある和紙を取る。

 

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膠糊注入
和紙をはがすとき、紙といっしょに絵具もはがれてくる部分に注射器で膠糊を注入し、 キャンバス地と定着させる。乾いたら、その部分に再度アイロンがけをする。

 

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Ripensamento(再思考)
熱湯で表面の洗浄中、右手の上に最初に描かれていた手を発見

 

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Montaggio(木枠に張る)
仮枠からはずし、キャンバスの大きさの木枠に張る。

 

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Pulitura(表面の洗浄)
始めに、一部分だけ洗浄し、他の部分との比較をする。 その後、全体を洗浄。使用した溶剤は、アセトン、dimetil solfossido(ジメチルスルホキシド)、コントラッド10%、20%(弱い順に)。 絵具の色まで取ってしまわないよう注意。 中和用に、テレピン油、最後にワニス(vernice retouche 50%)を塗る

 

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Stuccatura(ジェソ充填)
下地層のない部分に、うさぎ膠と茶色の顔料を混ぜたジェソをつめる。顔料を使用したのは、 オリジナルの下地層が茶色なため。乾いてから、キャンバスと同じ高さになるよう表面を紙やすりで研磨。 その後、またワニスを塗る。

 

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Reintegrazione(着色)
ワニス絵の具で、ジェソの部分、色落ちの部分を彩色。

 

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Vernice(仕上げのワニス)
ワニスをスプレーでかける。

 

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