Miki Matsuo
- Happy Art -
油絵 1

主題 :聖職者 Alessio Simmaco Mazzocchi
作者 : 無名
寸法 : 89 x 67cm (楕円)
地域 : ナポリ(神学部)
技法 : 油絵
制作時期:19世紀後半
修復前の状態
キャンバス : 2ヶ所の傷と無数の細かい孔がある。布地はとても薄い。最近修復された跡がある。
裏に2ヶ所の継ぎ当て布と、無数の染みあり。
木枠: オリジナルである。虫食いによる孔あり。
損傷:キャンバス地が弛んでいる。無数の虫の排泄跡あり。
下地: 下地層は白。絵の具層、キャンバス地との粘着力は良。
絵具層 : 色落ち、多少あり。引っかき傷あり。裏地に当て布のある部分を含め、何ヶ所か修復の跡が見られる。
修復過程

Velatura(表面の保護)
Colletta(膠糊)を表面に塗り、 水を湿らせた型紙(和紙を使うこともある)を貼る。
Consolidamento(裏地の保護)
翌日以降、表面が乾いてから裏地を紙やすりで磨く。 上の絵の場合、裏に当て布があったので、それを取ってさらに裏地を磨いた。その上に熱いColletta(膠糊)を塗る。

Foderatura(裏打ち)
それが乾いたら、更に裏にColla di Pasta(パスタ膠糊)を塗る。

裏打ち用枠を準備し、布地をかける。これを絵の裏側に重ねてさらに上からColla di Pasta(パスタ膠糊)を塗り、 絵と裏打ち布を定着させる。

Stiratura(アイロンかけ)
翌日以降、これが乾いたら表側からシリコン紙、新聞紙をひいて低温(最高45-50度)でアイロン(3-5Kgの重めの物)をかける

Svelatura(ワニス取り)
熱湯をスポンジに湿らせて、表に貼った紙をとる。布地を裁断し、新しい木枠に張る。

Pulitura(表面の洗浄)
溶剤は色々種類があるのですが、この場合はアセトンのみを使用。 前に修復された跡(ワニス絵の具)がオリジナル部分も含めて着色されてあり、その部分も洗浄。

Stuccatura(ジェソ充填)
下地層のない部分に、うさぎ膠を混ぜたジェソをつめる。

Reintegrazione(着色)
最初は水彩絵の具、次にワニス絵の具で、ジェソの部分の他、色落ちの部分を彩色。

Vernice(ワニスかけ)
仕上げに保護のためにワニスをスプレーでかけた。