Miki Matsuo
- Happy Art -
燭台

主題 : 木材燭台(銀箔張りにメッカ着色)
寸法 : 高さ 60cm
修復前の状態
全表面部がメッカ(銀の上に着色して金のように見せる手法)で制作されてあり、ほこりや灰、石膏などで汚れている。 大部分の表面に虫食い穴の跡と酸化による変色が見られる。 下方部分は金箔(銀)や下地層が剥がれて、下地石膏の下の布や木材部が見え、また木材部の欠けている部分もある。
修復過程

Consolidamento della preparazione (下地層の保護)
下地層の見える部分に、注射器でアルコール50%、水50%と水50%、アクリル33 50%を注入する。

Pulitura (洗浄)
エッセンサ ディ トレメンティーナ、アセトン、サリバシンテティカ を使用して洗浄。

Disinfestazione (消毒、殺菌)
注射器で虫食い穴にペルメタル(Permetar)を注入。

Consolidamento (保護)
アセトンに溶かしたパラロイドを木の亀裂部や木材部の見えるところに注射器で注入。
その後、木材部の欠けている部分にメスティカ(おがくずとヴィナヴィル接着剤を混ぜた物)で補う。(その上に下地層を塗るので、メスティカはオリジナルよりやや低めに)

Imprimitura (下塗り)
木、下地層が見えている部分にはうさぎ膠(550ml),ジェソ(スプーン 8杯), リトポネ(白い顔料)(スプーン 4杯)を混ぜたものを塗る。

Stuccatura (下地層)
下地層の足りない部分にうさぎ膠とジェソをつめる。
乾いたらオリジナルと同じ高さになるまで紙やすりで研磨。

Bolatura (ボーロ塗り)
黄色いボーロ(Bolo;膠灰粘土)一筆に少量の水、アルコール3滴を混ぜ、更に薄めて湯煎したうさぎ膠を加えて、銀を塗る部分の下に塗る。

Argentatura(銀メッキ)
銀粉をグワッツォ(guazzo;魚膠を薄めたもの)で塗る。
乾いたら、めのう石で研磨し艶をだす。 銀の上にメッカ(セラック(gommalacca)、アルコール、アニリン黄色顔料)をコットンで塗る。これで銀が金に見える ようになる。

Patina(古色)
黒色顔料「モルデンテノーチェ」、インスタントコーヒーを使ってオリジナルのような古色を出す。

Protezione finale(仕上げの保護)
最後に表面の保護に蜂蝋を塗る。